グラナダさんぽ

世界遺産 アルハンブラ宮殿の街

スペインの医療事情

今週のグラナダは雨続き。今年の夏は長く、ずーっと雨が降らなかったので恵みの雨が、ザーザー降っております。寒いし、体調もいまいちなので、今週末は自宅待機。

豪雨の休日って、思い切って諦められるところがいいんですよね。買い物も洗濯もしない!ブルーノマーズの『The Lazy Song』のように、ただ、だらだらするぞ~!っと気合が入ります。

 

特に散歩もできないので、雨音でも聴きながら、スペインの病院事情について、日ごろ思うことをつぶやいてみようと思います。

 

スペインには税金で運営される『公的医療保険』制度があって、社会保障で税金を納めている人には、国民医療保険が適用されて、スペイン全国の公立の医療機関での、検診、検査、治療、入院、手術、出産などなど、医療費は基本全額無料になります。

 

一部で処方箋が出ない任意で摂取するワクチンや薬もありますが、処方箋が出る薬の自己負担は少なくすみます。薬やその人の一般的に風邪薬なら1.5ユーロ程度です。200円以下

 

 

具体的にどんなシステムかといいますと…

 

 

まずは自分が住んでいる地域を管轄している一次医療センターに予約し、自分の主治医に診療してもらいます。主治医が特別な検査や専門医師の診察や治療が必要と判断すれば、専門医のいる病院で診療してもらえるように主治医が申請してくれます。

 

医療センターの予約は保険証のカードを持って受付に行くか、ネットでもできます。ネットでは、保険証番号、生年月日、身分証明書番号を入力してから予約日を選択。基本的に一週間~二週間くらいは予約で埋まっていることが多いので、病院に行きたいときは、なるべく早く予約します。通常の診察と電話での診察が選べます。緊急の場合は、当日受付に行って症状を話せば、救急扱いで診察してくれますし、医療センターの時間外は、公立の救急病院に行けば24時間受け付けてくれます。

 

 

全額無料は、とーってもありがたいシステムです。でも、どんなことにも陰陽があるのがこの世界ですよね…

 

このシステムでは、基本的に管轄の医療センターと主治医が決められています。地域によっては医療センターや主治医を選ぶこともできますが、小さな医療センターだと医師が一人だけで選ぶことができません。大きめの医療センターでは、主治医を選ぶことができますが、親切で、すぐ検査に回してくれるような大人気のドクターは、患者さんをたくさん抱えているので、診察の予約をしてもめっちゃ待たされたりもます。私の主治医は予約時間から2時間待つのも当たり前です。体調が悪いときに2時間待つのって、結構つらいですよね…

 

セカンドオピニオンが聞きたいときは、民間の病院に行くしかありません。もちろん公的医療保険では不安や不満がある場合は、民間の保険に入っている人もいます。民間では全額負担で初診で100ユーロくらいでしょうか。民間の医療保険も払えたら安心ですけどね…

 

そして公立の医療機関は、とにかく待ち時間が長い。救急病院だとしても、相当症状がひどくて待つことも困難な状態の患者さん以外は普通に何時間も待たされます。運がよければ数時間ですが、診察するまでと、診察して検査して、またその結果も待つので、週末は半日以上かかったりも…そして、専門医の診察を受けて、手術が必要なケースでも、病状の優先順位がありますので、数か月待たされるケースも。

 

パンデミックがあってから、なるべく電話診察にしてるので、病院に行く機会は減りましたが、私にとって、病院はただひたすら待たされる場所のイメージなので、以前は医療センターに行くときは『待たされてる』と思うと時間がもったいない気がするので、待合室は図書室にして必ず本を読む時間にしてました(笑)

 

 

手術も入院費用も無料のシステムなんだし、贅沢いっちゃいけないんでしょうけれど…がん検診を受けられる年齢が、日本に比べるとだいぶ高いく、症状がなければ50歳からです。子宮がん検診は、25歳以上の女性ができますが、陰性であればその3年後、5年後というように毎年受けられるものではありません。

 

気になる症状やしこりがあるような場合は診察してもらって、ドクターの判断で検査しますが、がん検診は症状がないときにするのがベストですし、進行速度が速いがんは数年見つけられなかったら手遅れになりかねないですよね。私は乳がん検診だけ、民間に全額払って受けにいったこともありますが、やっぱり高いので毎年は行けてないです。

 

仕事を病気で休むときは、病欠の証明書を主治医にもらって会社に提出しなくてはいけません。仕事復帰するときも、また証明書を作ってもらって会社に提出します。もし、病欠証明書を発行してもらっている期間に働いていることが判明したら罰せられます。

 

 

あ、全額無料と言いましたが、大事な例外がありました。

 

『歯医者』です。

 

国民医療保険でカバーされる治療もあるのですが、虫歯や歯の詰め物がとれたときなどは、民間の歯医者に行く必要があります。虫歯一本45ユーロ前後が相場です。検診は無料のところが多いと思います。

 

ただ子供が14歳までは、歯にフッ素を塗ってもらうことと、永久歯の虫歯治療は無料でできます。これは、親切な歯医者さんでないと教えてくれず、普通に子供でも治療費をとるところもあるので要注意です。私は今、お世話になっている歯医者さんに出会うまで知りませんでした。

 

ちなみに私は子供のころからすぐ虫歯になったり、疲れると歯茎が腫れたり、矯正をしたり歯医者には常にお世話になってきました。スペインで住むことを決めたときも、旅立つ前に念のため一応点検してもらいました。

 

でも、やっぱり詰め物ってとれちゃう日が来るんですよね。あー、なんでキャラメルなんて食べちゃったんだろう…なんて、自分を律すること既に遅し。そこでスペインで初めて歯医者さんに訪れたときのこと…

 

『ちょっと、あなたこれはどこで治療したの?』

 

『え、あ、JAPANですけど…(なにか?)』

 

『みんな~!見て!教科書通りよ!』

 

そして歯科助手たち全員が私の口の中を見る。

 

 

っというエピソードがありました(笑)

 

 

その日は日本の歯医者さんの職人技に感謝するとともに、スペインで治療することの不安を覚えました…(汗)

 

そして、その後も引っ越したりしてなんかしてデンタルクリニックを変えることになっても、口を開くとまず初めに日本の歯科技術の正確さをなぜか私が褒められるという…

 

ホントにJAPAN様様であります。

 

 

あと、女性が気になる出産事情ですが…

 

妊娠中は、参加したい妊婦さん向けに出産準備講習がありました。妊婦さんが集まって『ヒーヒーフー』的な呼吸法や『YOGA』的な体操を一緒にやったり。

初めてのお産のとき、陣痛が始まってから、公立の大学病院にかけつけると、

『まだ時間がかかりそうだから一旦帰って』と言われ、自宅に戻るのも遠いいので、近くのバルで、ひたすら陣痛に耐えて時間をつぶしてから、また病院へ。出産後は2泊3日だけで、3日目には自宅へGo。初めてのお産で不安もあったので、正直、もう少し病院にいたかった記憶が…

 

と、お国が変わると医療事情もだいぶ違いますね。

今日は住んでみないと分かりづらい医療事情をブツブツつぶやいてみました…